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青函連絡船「紅鮭弁当」 [弁当]

2007年1月22日、かの有名な新宿京王百貨店の駅弁大会に出かけた。中央大学在学中、鉄道研究会に所属していた私としては、駅弁と聞くだけで、口中に涎が充満するわけだが、新宿京王百貨店の駅弁大会は、さすがに日本一の規模・伝統を誇るだけあって、毎回必ず超満員で、人気駅弁には長蛇の列。行列がことのほか嫌いな私としては、気になりつつも、決して足を向けることのないイベントであった。しかし、今回だけは何としても行こうと心に決めていた。と言うのも、今回は、あの青函連絡「紅鮭弁当」の復刻版が販売されると聞いていたからだ。もう20年ほども前、中央大学鉄道研究会の冬期合宿で、2月下旬の酷寒の北海道へ渡り、氷点下15度のピリピリする空気と、一面の銀世界の真ん中に黒々と伸びる2条の鉄路に完全に魅せられてしまった私は、学割+冬期割引の北海道ワイド周遊券や青春18きっぷを最大限活用して、東京と北海道とを何度も往復した。学生の貧乏旅行のこと、長時間列車に揺られて青函連絡船桟橋に着き、乗船して真っ先に、いかにも安っぽい「紅鮭弁当」を確保し、2等船室の2人掛けシートでごろ寝。1時間ほどして目が覚めると、おもむろに「紅鮭弁当」の蓋を取ったものだ。ほどなくして、青函トンネルが開通し、青函航路が廃止されて、「紅鮭弁当」ともお別れとなってしまった。あれから20年、再び、「紅鮭弁当」と対面したわけである。最末期には、まるでコンビニ弁当のようなプラスチックの容器であったが、今回は、それより少し昔の姿を再現したもののようであった。しかし、白いご飯に、薄い塩鮭とわずかなおかずが乗っているだけの、素朴な弁当は、しかし、変わらず、美味しかった。なんだか、涙が出そうになった。


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